本当の意味の氏神神社について|古代氏族・豪族の祖先となる神社

氏神神社というと現在では、住んでいる地域の神様が祀られている神社となりますね。お祭りがあったり、初詣や七五三などの節目にも参拝する風習があると思います。

今回は氏神神社という名前の本来の意味となる神社についてお伝えします。

本来の意味の氏神神社とは

本来の意味の氏神神社は、大昔に有力な氏族と呼ばれる同一の祖先をもつ血縁関係のある集団があり、その氏族がご先祖様を祀ることになった神社になります

氏族が行っていた仕事などの守り神が祀られる場合もあります。

今回は特に有名な氏族について、どちらの神社が氏族の祖先が祀られている神社であるか見ていきます。

中臣氏(なかとみうじ・後の藤原氏)の氏神様

古代日本において、朝廷の神事や祭事を担当していた氏族。現在の京都市山科区中臣町付近の山階を拠点としていました。

中臣氏は天孫降臨の際に、瓊瓊杵命に従って降りてこられた神様とされる、天児屋命あめのこやねのみことを祀っています。

後の時代になり、藤原氏は鹿島神宮の武甕槌命たけみかづちのみこと、香取神宮の経津主神ふつぬしのかみも氏神様として崇敬するようになりました。これらを天児屋命の妃神とともに奈良の都に祀ったのが、春日大社となります。

中臣氏の氏神神社

  • 枚岡神社(大阪府東大阪市)
  • 春日大社(奈良県奈良市)
  • 吉田神社(京都市左京区)
  • 大原野神社(京都市西京区)

河内国の一之宮でもある牧岡神社は、飛鳥時代の中臣系の氏族である平岡連ひらおかむらじが現在の東大阪に移設して創建されたとされます。

忌部氏(いんべうじ・後の齋部氏)の氏神様

忌部氏は中臣氏と共に朝廷の祭祀を司った氏族です。また、現在の徳島県にあたる阿波の地域や千葉県南部に位置する安房を開拓した氏族としても知られています。どちらの地域も「あわ」という音で表現されているのは、非常に面白いですね。

そして、忌部氏が祀る祖先神は布刀玉命ふとだまのみことという神様になります。

神話では岩戸隠れの際に、思兼神おもいかねのかみが考えた天照大御神あまてらすおおみかみを岩戸から出すためにどのような策を講じればよいかという占いを行ったとされます。天児屋命あめのこやねのみこととともに太占ふとまにを行いました。

忌部氏の氏神神社

  • 天太玉命神社(奈良県橿原市)
  • 大麻比古神社(徳島県鳴門市)
  • 安房神社(千葉県館山市)
  • 大原神社(千葉県君津市)
  • 洲崎大神(神奈川県横浜市)
  • 安房口神社(神奈川県横須賀市)

 

物部氏(もののべうじ)の氏神様

物部氏は軍事・警察のことを担当し、武器の製造・管理を主に管掌していたが氏族。しだいに大伴氏とならぶ有力軍事氏族へと成長していきました。五世紀代の皇位継承争い活躍をして、その後には最高執政官を輩出するようになりました。

物部氏が氏神様として祀るのは、饒速日命にぎはやひのみこととなります。

神武天皇の神武東征において大和地方の豪族である那賀須泥毘古が奉じる神として登場する神様です。天皇家よりも前に天孫降臨したとされることもあります。

別名として、天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊あまてるくにてるひこあまのほのあかりくしたまにぎはやひのみこと天火明命あまのほのあかりのみことなどがあります。

物部氏の氏神神社

  • 磐船神社(大阪府交野市)
  • 天照玉命神社(京都府福知山市)
  • 石切剣箭神社(大阪府東大阪市)
  • 藤白神社(和歌山県海南市)
  • 廣瀬大社(奈良県河合町)

また、同一神が祀られているとされる神社もあります。

真清田神社(現在の祭神の天火明命は別名を天照国照彦天火明命と社伝にあるそう)
籠神社(現在の祭神の彦火明命は別名を天照国照彦天火明命、又の名を穂穂手見命と社伝にあるそう)

 

 

広告
最新情報をチェックしよう!