「あなたは今、幸福ですか?」
このように聞かれた時、すぐに「私はしあわせです!」と答えられる人は、どれだけいるでしょうか。
現在、AIがすごい速度で発達してきており、社会から人間らしさというものが薄くなってしまうのではと感じることがあります。AIが共にある社会においても、人間らしい幸せを求める気持ちや人間らしい暮らしをするための考え方についてお伝えします。
幸福はまず気付くことから始めるもの
幸せについて考えなくては、今自分が幸せかということには気づけませんよね。
そして、間違いやすいことのなのですが、幸せと感じられるかというのは、良好な条件を満たしているかによるのではなく、気づいているかがぽいんとになるというところにあります。
テクノロジーが推奨する「良好な条件」では、幸福にはなれないのです。
現代は、衣食住が整っていて、情報もすぐに手に入ります。生命の維持という観点ではこれほど満たされている時代はないでしょう。地球の裏側に移動したいと思えば、指先ひとつで叶ってしまう時代です。
かつて人間が「こうなれば幸せになれる」と願ってきた多くの条件は、もう達成されつくしているといってもいいでしょう。
それでも起こる不幸感
心の中に不安や焦りがあり、他人と比べては自分の価値を測ってしまう。このような状態では、いい条件を整えていたとしても、幸福を「感じる」ことはできないのです。
AIやテクノロジーが進化するほどに、思考や行動が最適化されていくでしょう。
すると、失敗や試行錯誤をする機会は減りますね。確かに効率は上がりますが、そこには偶然の喜びや自分で気づく感動が得られにくいことが予想されます。
幸福感は気づくのが重要というより
幸せだなぁという感覚は、本当は気づくことがすべてなのです。
どこかに求めるものではなく、気づきこそが本質と言うことですね。
- 風が頬を撫でたこと。
- お茶の香りにふと懐かしさを覚えたこと。
- 自分の呼吸が、継続できていること。
このような感覚は、「今」に意識があるときにだけ感じられる感性です。そして、ここにありがたいと感じられるということが幸せなのです。
幸せの気づきから外れる要因
幸せは皆が感じたことがあるのに、長く続かないということがわかっている方もいると思います。
幸せ感からはじき出されるとき、「過去への後悔」や「未来への不安」に囚われていることが多いです。今感じられている感覚を見過ごしていることこそ、不幸の正体とも言えるかもしれません。
感性は情報に埋もれる
私たちが今、最も注意した方が良いのは情報が多すぎることによって、感性がマヒしていることです。
本当は五感で「これは美しい」と思う瞬間があるはずなのに感じるべきことなのに、画面を通じた情報で満足してしまうということが起こります。
SNSで人気なものが正しいというように、思い込んでいるとなかなか幸せにはなれません。感性とは、比較ではなく“自分だけの気づき”によって芽生えるもの。それが奪われていくことは、人間らしさが希薄になるということです。
AIとの共生で大切なこと
AIは、私たちの思考や選択の多くを肩代わりしてくれるようになってきました。ただ「気づくこと」は、最後まで人間が行うものであると認識すべきです。
AIは補助的な役割にとどめ、自分の感覚のみを信じる癖をつけましょう。その先で得た気づきの瞬間こそが、何ものにも代えがたい幸福感となります。
- 感性を守るとは、自分の内側の静けさに触れること。
- 思考が止まり、「ああ、生きている」と感じる瞬間を見失わないこと。
- テクノロジーを使う中でも、自分の中にある人間らしさや感覚を手放さないこと。
禅的な思想ですが、これこそがAIと共生する時代における幸福の鍵だと思います。