今回はワークの20個目となります。これまでいろいろな方法で自身の心の状態を観察する方法についてお伝えしてきました。
今日は生活に取り入れやすいものになりますので、1日のなかで時間を見つけて取り入れてください。
まずは、方法と効果についてお話してきましょう。
今あなたがやっていることは何ですか?
人生は結局何かしらの行動の積み重ねによって形作られています。
ただ、その時に自分が何をやっているのかをはっきり意識していることは少ないでしょう。実はこの行動の意識こそが、心を整えるのにとても大切なことなのです。
ヨガなどの手法でも体のどこが伸びているのか意識することを重要視しますよね。たとえヨガの時間が取れなくても、自分の行動をはっきりと認識する方法があるのです。
それが意識的にゆっくり動くということです。
ゆっくり動こうとすることで、行動すべてを意識下に置くことができるようになります。しかも、ごく自然にこの意識する状態へ移行できるので、瞑想が苦手という方やこのような方法に初めて接する方に特におすすめできます。
脳が便利すぎて色々考えちゃう件
私たちは脳という考えるために非常に便利なアイテムを持っています。何かを予想したり、過去の経験についてストックしてくれたりととっても高い機能をもっていますよね。他にも、日常のルーティンワークはやり方について考えることなく、ほとんどオートマチックに行うことができるようにもしてくれています。
ほぼ自動で動けてしまうというので、私たちは常に不安や後悔、焦燥などを感じる余裕が生まれてしまいます。脳が良かれと思って、自由に活動してくれているともいえるのですが、そのために不幸感が生まれるような状況は暴走ともいえるでしょう。
脳の暴走を止めて、通常の行動をマニュアルに近い状態にすることができれば、自然と平常心が戻ってくるのです。
ただ、「ゆっくり動いてみる」。これだけでも心を整えることができるのは、マニュアルで行動するに近い状態にすることができるためなのです。
どんな場面でゆっくり動く?
生活の中でやっている事であれば、どれを選んで意識的にゆっくりしても良いです。
料理でも、駅までの徒歩の時間でも、文字を書くことでもいいでしょう。
私は原稿を作る時には、ノートにお気に入りの万年筆で執筆することにしています。この時に数分間あえてゆっくりとペンを走らせることをしています。
ゆっくり書こうとするだけで、インクのにじみやペン先の感覚まで意識できるようになるから不思議。同じペンを使っても走り書きをしている時には全く感じられないことに気付くことができるのです。
このように、どんな場面でもただゆっくりやるだけで、感覚が研ぎ澄まされる感覚が得られ、結果として心の状態が上向いていくのです。
ゆっくり動くワークのやり方
とくになし
今回は特にワークのために準備するものはありません。いつもやっていることをただゆっくりにするというだけですからね。それではどれくらいのイメージで行動すればいいかをお伝えしていきましょう。
まずは、どんなものを対象とするかについてです。最初の内は時間に追われているかもしれませんので、1分完了する程度のものを選んでみましょう。例えば、以下になります。
- キュウリを切る
- 洗濯物をたたむ(1枚でも良い)
- ジュースを買いに行く
- コーヒーを飲む
- 手紙の宛名を書く
これらのように、普通の事で構いません。行動が丁寧になり、自分がどんな動きをしているのかを確認しながら行動できるようになるのです。
この考え方は「○道」と名前の付く伝統文化と似ていると感じます。書道、華道、弓道、茶道など。これらはひとつずつの所作が決まっていますよね。動きを確かめながら行うと共通する考え方だと思います。
心を整えて、明晰さをもって生きることが可能になる。昔の人はこれをよく理解していたのでしょう。
どれくらいゆっくり動けばいいのか
今回のワークで最初にゆっくり行動するときには、5倍の時間を使うつもりで行うと良いでしょう。
これですと、1回あたり5分程度で行えるので、忙しさを感じている方でも取り入れやすいと思います。
是非実践するときには、テレビをつけていたり、スマホを近くに置いたりと集中を遮られることがないようにして行ってください。