お友達にちょっと手助けしてもらった時、ふと、自然に口をついて出る「ありがとう」。
何気ない一言ですが、言っている自分も気持ちがいいものですよね。
実は単に気分がいいというだけでなく、科学的に心と身体を整える力があるそうです。今回は感謝の力についてです。
感謝がもたらす心の変化
心理学の世界では、「感謝」をテーマにした研究が多くあります。その中でも特に知られているのが、アメリカの心理学者ロバート・エモンズ氏の実験。
- ひとつめのグループには毎日「感謝できることを3つ書いてもらう」。
- 別のグループには「嫌だったこと」「出来事のみ」を書いてもらう。
数週間後に違いを観察するという実験です。すると、感謝を記録していたグループは幸福感が増して不安や落ち込みが軽減されていたというのです。
「ありがとう」と心の中でつぶやく。
不思議ですが、わたしたちの心は優しく幸せな感なくになっていくのです。
脳の中で起きる、静かな変化
感謝を感じるとき、脳の中ではいくつかの反応が起きることが確認されています。
報酬系(快楽を感じる領域)が活性化
→ 幸せやつながりを感じやすくなる
前頭前皮質(理性や共感に関わる部分)が活性化
→ 心の落ち着きや思いやりが育まれる
ストレスホルモン(コルチゾール)が減少
→ 心拍や血圧も整いやすくなる
「ありがとう」を繰り返すと人生が好転するなんて魔法のようなノウハウがありますが、あながち嘘ではないようです。
MRIでの観察結果
近年の脳画像研究でも、「感謝」は明確な神経活動として捉えられています。アメリカ・インディアナ大学の研究では、感謝をテーマにした手紙を書いた被験者の脳をfMRIで解析した結果、
- 内側前頭前皮質(共感・判断に関わる領域)
- 側坐核(報酬系に関連)
といった領域が活性化していることが確認されました。これは前節の結果と一致する内容ですね。
感謝を感じることが共感力や幸福感、さらには行動のやさしさを高める脳の状態をつくるという、科学的な裏づけとなっています。つまりありがとうを感じやすくしておくことが、大切ということですね。
日本語の「ありがとう」は特別?
「ありがとう」は、もともと「有り難し(あることが難しい)」が語源です。この言葉には、「今ここにあること」そのものへの深い感謝が込められています。
また、「ありがとう」は日本語の特徴から柔らかい響きを持っています。母音が多く、発音が心地よいことと、音が広がるような流れを持つというのが特徴です。
発生するだけでも響きから安心感が増える。まるで心のおまもりのように働くのです。
世界中の「ありがとう」も効果あり
もちろん日本語以外のありがとうも、感謝の気持ちがあるという点で幸福感をアップさせることができます。
「Thank you」
「Gracias」
「Merci」
「Khop khun ka」
どの言葉も、「ありがとう」を意味します。
国や言葉が違っても、感謝する気持ちは皆の心の中にある共通のやさしさです。
焦りや不安がふと顔を出したとき。そんな時にこそ、感謝することはないか探すチャンスです。
無理にでもありがとうと感じることを見つけてみてください。
- お茶が美味しかった
- 鳥の声がきれいだった
- 今日も生きていた
これに気付いた分だけ、豊かな人生になります。是非ゲーム感覚で感謝すべきことを見つけてみてください。