子どもがまだ小さいこともあって、近所の木が多く茂っているも公園や神社に行くことが多い我が家。
自然の中で過ごすと、空気が美味しい。呼吸が深くなって気持ちがいいものです。それだけでなく、土を触るとリラックスできたり、身体が軽くなるような感覚を持つ方も多いでしょう。
今日は、土のパワーについてお話してみようと思います。
子供の泥んこ遊び、汚いって思ってませんか?
街中がすっかり綺麗な日本。東京を始め、国内の都市部の清潔さは世界的にも知られるところです。
ピカピカが当たり前になっていたり、除菌が騒がれている現在において、泥んこ遊びのような「汚れる」遊びは大人たちの敬遠するものになっているような気がします。
私が住んでいる田舎においても、子どもが土いじりを始めると「汚いからやめなさい!」とか「お洋服が汚れちゃうでしょ」といったママの声が頻繁に聞かれます。
お洋服が土で汚れるのは、事実でしょう。これは見た目のお話。ただ、本当は土というのは、本来人間が触れてなければならないもので、汚いや不衛生とは違うものだと思うのです。
西洋医学のお薬のアイディアの多くは自然からヒントを得る
私は学生時代に薬の研究をする機関で研究生として勉強させてもらっていた経験があります。
生物とか薬学の世界では、病気に対して効き目のあるものを自然のなかから見つけるというジャンルがあるのをご存知でしょうか。このような言い方だと、少数派のように思われるかもしれませんが、新しい機能を持つお薬のアイディアはほとんどが自然由来の物質なのです。
世界初めの抗生物質であるペニシリンは、青カビから採られた成分であるというのは有名な話。この研究結果によって、発見者のフレミング博士は1945年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。世界的に影響力を持った知見だったわけですが、これは昔だけの話ではないのです。
最近でも日本人学者の大村智博士が「イベルメクチン」という薬の開発を行いました。このお薬は、家畜の寄生虫や皮膚病といった動物用の抗生物質として非常に優秀で、20年以上の長期にわたって売上高世界トップを維持するというものなのです。この薬ができたのは1974年。この成果によって大村博士も2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
このお薬は「ゴルフ場の土」からできた
イベルメクチンというノーベル賞を獲得するほどの近代のお薬も、例にならって自然から得られたものなのです。
静岡県にある有名なゴルフ場「川奈ホテルGC」の土の中から見つかった成分なのです。土から分離した微生物が作り出す「アベルメクチン」という成分をもとに開発されました。
土を触ることによって、微生物が感染症になったときの症状を和らげる可能性を感じられると思います。
現代も続く土から効く成分を見つける研究
薬学や化学の世界では、天然の土や泥、砂や植物などから有用な成分を見つける研究が今まさに進められています。化合物の探索研究をする化学者は、その世界では「ものとり屋」ともよばれるほど広くしられた研究ジャンルなのです。
多くの研究者が土の中に症状を緩和するような成分があるではと世界中を飛び回って宝探しをしているわけです。
ただ、ピンポイントでお薬としての効果を得られなかったとしても、無限存在する微生物に触れることで健康を維持するような働きがあるのではないでしょうか。
色々な土地に行って、土を触ったり、無農薬のお野菜を食べることによって、科学では見つけられない無数の効果ある化合物を自然に摂取することになるのです。
直会(なおらい)の意味もおそらく健康維持と関係ある
神社参拝が終わった後、神社の儀式に参列したことがある方ならご存知でしょうが、儀式が終わったあとでお酒を口にします。
これを直会(なおらい)といいますが、この風習はその土地の微生物の摂取にあるのかなと感じます。
お酒ではなかったとしても、その土地の食べ物やお土産屋さんで土地の名物を買うのも同じです。その土地で育つ目に見えない微生物の力を身体にとりいれることができ、結果として健康を維持できるのです。
当たり前のように行っている中に、先人たちの知恵が入っている。日本はやはり素晴らしい文化をもっていますよね。
まとめ
土の中の微生物が健康維持に役立ちそうな気がしてきましたでしょうか。
子供が公園に行って行う、泥遊びは本能として免疫力を強化する役割があるのではと感じてしまいます。水溜りに飛び込んだり、草の上を転がったり、土が落としきれていない手で口の周りを触ったり。
これが意味があるからこそ、人はパワースポットで癒されるのではないでしょうか。
親としては子供が汚れていい服を着せてあげる、あとは気持ちの向くままに遊ばせてあげたいと思うのです。