特効薬と言っても「薬」ではありません。薬を飲まなくても、緊張をほぐす方法はいくつもあります。「手に人という文字を書いて飲む」といった心理に効果のあるおまじないのような自己暗示から、「深呼吸」といった身体に働きかけるものまで。
いますぐこの緊張から逃れたいのに頭の中は「どうしよう」でいっぱいに。でも緊張を悟られず余裕を持って何事にも取り組んでいる人に見られたいと思うのは当たり前の心理です。数ある緊張解消法の中でも、人前でもすぐに実践できる厳選した5つをご紹介します。
体に働きかけて緊張をほぐす
深呼吸が緊張に効くのは有名な話です。深い呼吸は自律神経の活動を安定させる効果があります。
呼吸のリズムや長さいろいろな実践法がありますが、もう目の前に人がいる時、音がするほどの大きな呼吸は出来ません。人前に出る直前やもう人前に出てしまっているとき、できれば周りにバレないように緊張をほぐしたいものです。深呼吸を含め心と体のつながりを利用した人前でも短時間で緊張をほぐす方法を3つオススメします。
「鼻からゆっくり吐いてからゆっくり吸う」を2回セット
深呼吸の応用です。音を立てつつ大きな深呼吸をしてから気合を入れてしゃべり出す人を見かけます。どんなに上手にしゃべっていても口を開く直前に緊張していたことがバレバレなんてことも。
鼻からのゆっくりとした呼吸は口での呼吸よりも音がしません。緊張していると呼吸が浅くなり、吸う作業から始めても肺も緊張しているのでしっかり空気を取り込むこともままならない状況にあります。しっかり息を吐ききってから吸った方がたっぷりと肺に空気を取り込むことが出来ます。
まず、肺から空気を絞り出すイメージで鼻からゆっくり息を吐きます。すると次のステップである息を吸う作業は思いのほか簡単にできます。もう一度同じ作業を繰り返した頃には「深呼吸」の効果で自律神経が整いリラックスできているというわけです。
肩と脇、おしりにグッと力を入れ5秒キープして緩める
緊張と緩和を利用した解消法です。緊張で固まってしまった全身にさらに大きな力を込めて、一旦これ以上ないほどカッチカチにしてあげると、その後の筋肉は緩むしかないのです。筋肉が緩むと心も緩みます。誰も見ていない場所ならば、どんな体勢でも良いので一旦全身に思い切り力を入れてみます。ただ、もうすでに人前に居る場合は、外から見ても解らない部分に力を込めるのがオススメ。
肩を引き下げるように脇の下を締めてグッと力を込めます。同時におしりの筋肉を持ちあげるように力を入れます。立っているときは少しかかとを浮かせるイメージを持つと実践しやすいでしょう。5秒キープできれば充分。肩を下げて力を入れているので、筋肉の無駄な力が抜けたあとも肩の下がった余裕のある姿勢に見えるのもオススメのポイントです。
上の歯と下の歯がぶつかっていないか舌先で確認する
「歯を食いしばって頑張る」という言葉がありますが、じつは常に上下の歯がぶつかっているのは良い状況ではありません。
近年では、無意識な歯の食いしばりは歯や顎に悪影響があるばかりか、頭痛や肩こりといった全身症状にもつながる注意すべきクセとして、歯医者さんでも注意喚起しています。食いしばりを解消すると心身のリラックスにも繋がるのだとか。緊張を強く感じる人の多くは、ストレスがかかると無意識に奥歯を食いしばり上下の歯をガッチリと噛み合せている傾向があります。
顎の力を抜こう・食いしばりをやめようと言うのは簡単ですが、思うように力を抜けないのが緊張状態。人前に立った時、口を閉じた状態でこっそり舌先を使い上の歯と下の歯の間に隙間があるか確認してみる。これだけで食いしばりが解消します。舌先を使うことで舌の無駄な力も抜ける。顎と舌の力が抜けると自然と顔の筋肉も緩むので、柔らかい表情で滑らかにしゃべることも可能になります。
思考の切り替えで緊張をほぐす
人前に出る時「手に人という文字を書いて飲む」という方法、おまじないは効くと信じる暗示の効果が大きいようです。自分を緊張させる対象を飲みこむことで対象に負けない存在になったという思考の切り替えも行われています。簡単に言えば、気の持ちようで緊張もほぐすことができるわけです。効果的な2つの思考の切り替え法をご紹介します。
目の前の人をかぼちゃだと思え
「目の前の人をかぼちゃだと思え」という有名な暗示がありますが、効果が得られないという人もいます。
思考の切り替えとして、人前だから緊張する、だから人ではないものに置き換えてみるという方法ですが、自分を評価する人の前だと緊張してしまう場合「自分を評価するかぼちゃ」に置き換わってしまうのであまり効果が得られないのです。
この「かぼちゃに置き換える」方法は考え方をちょっと変えるだけで一気に緊張をほぐすことに使えるんです。
過去に緊張して失敗した経験のある人は、どんな人達の前で緊張してしまったのか分析してみましょう。自分を評価する人のほかにも、カッコつけたい相手、弱みを見せたくない相手、自分を全く知らない人、自分を良く知る人など、それぞれに緊張する相手が違います。
逆に自分が緊張せずに気楽におしゃべりできる相手についても分析してみましょう。
そして、置き換える「かぼちゃ」はすべて緊張しない相手に置き換えてしまうのです。このように順序立てて考え方を整理していくと、目の前の人を他のものに置き換える方法は、緊張に効くのです。
自分で考えない。人の言葉に身をゆだねてみる
緊張で追い詰められ過ぎて思考を切り替える余裕が無い人は、誰かの考えに乗っかってしまうのも効果的です。生真面目な人は自分で何とかしなければと思いがちですが、世の中にはたくさん素敵な言葉が溢れています。普段から自分の心にひっかかる言葉を探しておいて、ここぞという時に思い出し思考の切り替えの助けにします。
参考に1つオススメの言葉をご紹介します。この方法は、宗教思想家・ひろさちやさんが提唱するのは「無関心」になるためのノウハウです。今の自分だけにクローズアップしてこれから起こることを心配しないという考え方。
「こんなふうにならなくちゃ」「ああいう人でありたい」などという邪念が起きたときには、「南無そのまんま、そのまんま」と唱えましょうよ。
引用:ひろさちや著「無関心のすすめ」152頁
緊張しているなと感じたら難しいことは考えず「南無そのまんま、そのまんま」と心の中で数回唱えます。自分でぐるぐる思い悩むよりも、時には人の言葉に身をゆだねるのも方法のひとつです。「南無そのまんま、そのまんま」と唱えるうちに邪念が払われ不思議と緊張がほぐれていきます。乗っかってみましょう。
今回紹介したひろさちやさんの書籍を含め、心が整うオススメの書籍をまとめて紹介しています。
まとめ
いかがでしたか?人前でもすぐに実践できる緊張解消法。
普段からちょっとした緊張を感じた時に効果を実感しておけば、大舞台で絶大な効果を発揮するはず。周りに悟られず効率よく緊張とサヨナラ出来たら嬉しいですよね。
ぜひ試してみて下さい。