明治神宮のおみくじには吉凶がない!人生訓が詰まった「大御心」解説

明治神宮のおみくじは吉凶について教えてくれるものではありません。

人生全般に好影響をもたらすような、人生訓が集まっているのです。心を清らかにするためにも引いて自分の指針のひとつとして持っておくのも良いでしょう。

おみくじと明治神宮の関係

おみくじをはじめ「籤」というのは、古くからいろいろな形で行われており、太古の昔から神様の意見をうかがうためのツールとして発展してきたものです。現在でも皇室でも重要な物事を始めるときなどには籤が用いられているといいます。

明治神宮のおみくじ「大御心」

明治天皇を祀る原宿駅近くにある明治神宮。実は戦前までは国家が管理しているお社でした。このため当時は御神籤が発行されておらず、戦後に宗教法人になるときにおみくじが初めて登場することとなったのです。

その時に明治神宮は他の神社とは異なるものを出すべきとして、他にはないものが考えられたのです。それが、吉凶や個別の課題に回答をする形のない、和歌のみが書かれているというおみくじです。

その名も、『大御心』

ご祭神である明治天皇と昭憲皇太后様が読まれた詩文や和歌を記しているものが入っています。

数ある和歌の内、特に意味が分かると教訓が得られるという30首が選ばれ、これに解説文をつける形で授与されるようになりました。

和歌に書かれていることはどれも、日ごろ生活するうえで心がけておくと清らかな気分になるものばかり。ありがたいという気持ちになれますので、参拝した時には是非引いてみると良いでしょう。

明治神宮のおみくじは持って帰ること

明治神宮には、大御心を結びつける場所がないので各自で責任を持って持ち帰りましょう。マナーやルールを守り参拝をしましょうね。

明治神宮のおみくじ一覧・読み方解説

明治神宮のおみくじである大御心は表に歌、裏側には解説が書かれております。

ここでは私の解釈をいれず、書かれているものをそのまま写して生きたいと思います。

1番 『神衹』

明治天皇御製(一)

『神衹』

目に見えぬ神にむかひてはぢざるは

    人の心のまことなりけり

普通では目に見ることができない神様に向かって、少しも恥ずかしくないという清らかな正しい心境というものは、誠の心で、それは私達にとって最も貴いものであります。

誠実であれば、いつどこでも誰に向かっても恥ずかしくなく、これほど自信に満ちた力強いものはありません。実社会にあって常に判断を誤らず、正しく進んで行くためには、誠の心が一番大切です。

(誠は幸福の基本です)

2番 『慎独』

昭憲皇太后御歌(二)

『慎独』

人しれず思ふこころのよしあしも

    照し分くらむ天地のかみ

誰にもわからないであろうと、心の中でひそかに思うことでも、天地の神々は、ちゃんと其の善悪をば、ご存知であるにちがいありません。

昔から「独を慎む」という言葉があるように、他人が見ていようがいまいが、悪いことをしてはなりません。神々様は、すべてを見通していらっしゃいます。

(明るい生活は秘密のないことから始まります)

慎独(しんどく):自分一人でいるときでも身をつつしみ、道をはずれないようにすること。

3番 『述懐』

明治天皇御製(三)

『述懐』

かたしとて思ひたゆまばなにごとも

    なることあらじ人のよの中

むずかしいからといって、為すべき事を怠るようでは、人の世の中のことは、決してせいこうするものではありません。

世の中の事は、すべて不撓不屈の精神で、勉め励むことが最も大切です。希望がおおきければ大きいほど、困難もまた大きいものです。

(七ころび八起きの決心で励みましょう)

不撓不屈(ふとうふくつ):強い意志をもって、苦労や困難にもくじけず挑戦するようす。

4番 『人』

昭憲皇太后御歌(四)

『人』

人はただすなほならなむ呉竹の

    世にたちこえむふしはなくとも

人は何よりも第一に、素直でありたいものです。たとえ、あの竹の節のように、世の中に目立って優れた才能が有る無しには拘わりません。

どのように才能が優れていても、心がひねくれていては、すべての事がゆがんで見え、不平や不満が絶えず、苦しみ悩むことになります。何よりも先ず、心が素直であることが、明るい人生への出発点であります。

(先ず第一に心は素直であるように)

5番 『山』

明治天皇御製(五)

『山』

萬代の国のしづめと大空に

    あふぐは富士のたかねなりけり

千代に八千代に益々発展する日本の国の鎮護として、いつも大空に仰ぐのは富士山のあの気高い姿であります。

東海の天に聳える富士の高嶺を仰ぐとき、日本の国の姿をまのあたりに見る心地がして、神々しく、清々しく、なつかしく感じます。祖先から受継ぎ子孫へ伝えて行く立派な国としてお互いに国民の責任を為し遂げるように努力をお誓いいたしましょう。

(国民の自覚を強くし責任を重んじましょう)

6番 『心』

昭憲皇太后御歌(六)

『心』

むらぎもの心にとひてはぢざらば

    よの人言はいかにありとも

自分の良心にきいてみて、少しも恥ずるところがなければ、世間の人は何と言おうと、動揺することはありません。

世間の批評は千差万別で、必ずしも一致しません。自分の良心にきいてみて、正しいと信じたならば、他人の言葉に迷わないようにいたしましょう。良心は神に通じます。

(自信を強く持つこと)

7番 『折にふれて』

明治天皇御製(七)

『折にふれて』

さまざまのうきふしをへて呉竹の

    よにすぐれたる人とこそなれ

竹の幹が多くの節を持って、どんな風雪にも堪えられるように、人はさまざまの艱難辛苦(かんなんしんく)を凌いで、はじめて世の中に優れた人となるのです。

「艱難汝を玉にす」という諺があるように、人は大きな試練に打ちかってこそ、立派な人格をつくり、すぐれた事業も大成することが出来ます。

(努力なくして成功はない)

8番 『心』

昭憲皇太后御歌(八)

『心』

日に三度身をかへりみしいにしへの

    人のこころにならひてしがな

一日に、三度もわが身を反省したという、昔の立派な人の心に習いたいものです。

昔、曾子という人は、「人のために忠実か」、「友と交わって信実か」、「修養を怠っていないか」と、毎日三度、わが身を反省しました。これが向上進歩の基となります。人はとかく、うぬぼれがちですから。

(反省は修養の基、幸福の種まき)

9番 『折にふれて』

昭憲皇太后御歌(九)

『折にふれて』

世の中の人におくれをとりぬべし

    すすまむときに進まざりせば

世の中は日進月歩で、絶えず進歩しています。もしも日頃の努力を怠ると、進むべき時に進まれず、世間から取り残されてしまいましょう。

社会は遠い祖先の時代から、人々の協力によって今日の文明を気づいて来ました。お互いに協力をして、世の中のお役に立つようにつとめましょう。

(責任あることは必ず為しとげましょう)

10番 『耳』

昭憲皇太后御歌(一〇)

『耳』

人ごとのよきもあしきも心して

    きけばわが身の為とこそなれ

世間の人の言葉は、良いことも悪いことも、さまざまと耳に入って来ますが、これを注意して聞けば、すべてわが身のためとなります。

人々の言葉はさまざまです。それを聞き流さず、或はこれに左右されて、つまらぬ心配をしないで、注意深く聞くことが大切です。心がけ次第で、世間のことは何でも役に立つものです。

(人々の言葉に注意して、わが身のためと聞きましょう)

11番 『孝』

明治天皇御製(一一)

『孝』

たらちねの親につかへてまめなるが

    人のまことの始なりけり

心をこめて、父母にお仕えすることが、人のまことの行いの始まりであります。

親と子の敬愛の情は、生まれながらの自然のものです。これが人の誠の始まりで、広く社会生活を営む基本となります。

(孝は人の行いの基本です)

12番 『鏡』

昭憲皇太后御歌(一二)

『鏡』

朝ごとにむかふ鏡のくもりなく

    あらまほしきは心なりけり

毎朝、私達が向う鏡が綺麗であると、まこと気持がよいように、人の心も、いろいろのものを写す鏡でありますから、常に清く澄み明らめておきたいものです。

自分の心が曇っていては、不愉快であるばかりでなく、物事を正しく理解することが出来ません。誤解や間違は不幸のもととなりますから、いつも心の鏡を磨きましょう。

(心の鍵をいつも清く明らかにいたしましょう)

13番 『心』

明治天皇御製(一三)

『心』

しのびてもあるべき時にともすれば

    あやまつものは心なりけり

人の心は、耐え忍んでいなければならないときに、つい辛抱しきれないで、軽はずみをして、取り返しのつかない失敗をするものです。皆、自分の修養が足らないからです。

辛抱と努力とは、人生の大切な心がけです。堪忍出来ない時に、よくよく我慢するのが本当の堪忍です。勝利とか成功とかは、最後の五分間にあると言われ、短期は損気とも言われます。

(忍の一字に徹しましょう)

14番 『述懐』

昭憲皇太后御歌(一四)

『述懐』

あやまたむことを思へばかりそめの

    ことにも物はつつしまれつつ

世の中は、とかく過ちが起こりやすいものです。これを避けようと思えば、どんなつまらない小さなことでも、万事慎重に取扱わないではいられなくなります。

人間は万物の霊長といわれますが、又、意馬心猿と言う古い諺もあって、野生の一面もあります。心の手綱をゆるめずに大事をおそれず、小事をもあやまたず、慎み深くいたしましょう。

(油断は大敵です)

意馬心猿(いばしんえん):煩悩や情欲・妄念のために、心が混乱して落ち着かないたとえ。また、心に起こる欲望や心の乱れを押さえることができないたとえ。

15番 『心』

明治天皇御製(一五)

『心』

いかならむことある時もうつせみの

    人の心よゆたかならなむ

いつ、いかなる思いがけぬ返事が起きても、世の中の人々の心は、あわてふためくことなく、広く豊かでありたいものです。

およそ人の人生には、個人の上でも、社会の上でも、思いがけぬ事件が、大小となく起るものです。そんな時、うろたえさわぐようでは駄目です。日頃から常に泰然自若として、不動の心を養いましょう。

(いつも落ち着いて、心は広く豊かにもちましょう)

 

泰然自若(たいぜんじじゃく):落ち着いていてどんなことにも動じないさま。

16番 『勤労』

昭憲皇太后御歌(一六)

『勤労』

みがかずば玉の光はいでざらむ

    人のこころもかくこそあるらし

どんな立派な宝石や真珠でも、磨かないで生地のままでは、あの美しい光は出て来ないでしょう。人の心も、それと全く同じはずで修養練磨を怠ってはなりません。

人は努力を惜しまずに、毎日自己を磨き鍛えることによって苦しさ辛さに打ち勝つ立派な人に成長し、正しい道を歩むことが出来ます。

(磨かざれば光なし)

17番 『日』

明治天皇御製(一七)

『日』

さしのぼる朝日のごとくさはやかに

    もたまほしきは心なりけり

空高く昇っていく朝日のように、いつもすがすがしく、明るくさわやかな心を持ちたいものです。

朝日の昇るのをみると、誰でもさわやかな心になります。この時の気分で、毎日生活できたら、どんなに楽しく幸福でしょう。毎朝神様を拝むことも、いつも神徳を仰いで清々しい心で、一日を幸せにはたらくためです。

(心はいつも清く明るく持ちましょう)

18番 『沈黙』

昭憲皇太后御歌(一八)

『沈黙』

すぎたるは及ばざりけりかりそめの

    言葉もあだにちらさざらなむ

何事でも、過ぎたるは及ばざるにしかず、と言って、行き過ぎはよろしくありません。特に言葉については、どんな一寸したことでも軽々しい口をきいてはいけません。むしろ沈黙の方が良い場合があります。

不用意の言い過ぎが誤解を生じたり、不幸を招いたりする事になります。つまらない噂等が、社会の秩序を脱したり、家族の不和を招いたり、友人との誤解を起したりします。

(言葉づかいに気をつけましょう)

19番 『巌上松』

明治天皇御製(一九)

『巌上松』

あらし吹く世にも動くな人ごころ

    いはほに根ざす松のごとくに

たとえ、どのように嵐が吹きすさぶ、はげしい世の中の変動に会っても、あの巌の上に、どっしりと根を張っている松の大木のようにしっかりとした信念を持って、心を動揺させてはなりません。

世の中は、いつも平穏無事ではありません。お互いの生活でも吉凶禍福は次々と起こって来ます。このような社会に生き抜くためには、常に修養につとめ、巌上の松のように、不動の信念の根を養いましょう

(不動の信念)

20番 『謙遜』

昭憲皇太后御歌(二〇)

『謙遜』

高山のかげをうつしてゆく水の

    ひききにつくを心ともがな

高い山の姿を写して、谷川の水が段々と低いほうへ流れて行くように、誰でも理想は高く、身はつつましく、ということを心がけたいものです。

誰でも生まれながらに、尊い人格を親から授かっていることでは平等です。お互に敬愛の心が大切です。ここに謙遜の美しい徳があります。

(心は高く、身はつつましく)

21番 『道』

明治天皇御製(二一)

『道』

ならび行く人にはよしやおくるとも

    ただしき道をふみなたがへそ

多くの人々と並んでいく世の中で、たとえ、他の人々にはおくれることがあっても、あまり急いで、正しい道をふみあやらまらいでほしいものです。

成功を急いで、方法を選ばず、ついには大きな失敗を招いた実例は沢山あります。急がば廻れというたとえのように、最初の信念を貫いて、正しい道を着実に進みましょう。

(堅実な歩みが大切です)

22番 『寧静』

昭憲皇太后御歌(二二)

『寧静』

いかさまに身はくだくともむらぎもの

    心はゆたにあるべかりけり

どのように身を打ちくだき、力をつくし、忙しい仕事に熱中しても、心はいつも落ち着いて、広く豊かに、ゆとりを持つように心がけることが大切です。

人生の航路は決して平穏ではありません。多くの難関を乗り越えなければなりません。たとえ、骨身をくだくような時でも、心はいつも平静に豊かに心がけることが大切です。この心がけが健康長寿の基であり、万事成功の秘訣です。

(心はいつも平静に豊かに保ちましょう)

23番 『誠』

明治天皇御製(二三)

『誠』

とき遅きたがひはあれどつらぬかぬ

    ことなきものは誠なりけり

物事を為し遂げるまでには、人によって早い遅いの違いはありますが、どんな時でも、誠実な心さえあれば、その心を貫き通すことが出来ます。

誠から出発したことは、必ず成し遂げられます。どんなに巧みな手段方法でも、真実がなければ、成功はおぼつかない。正直者が馬鹿をみるといいますが、最後の勝利は誠実にあるのです。

(誠実は成功の基です)

24番 『智』

昭憲皇太后御歌(二四)

『智』

おこたりて磨かざりせば光ある

    玉も瓦もひとしからまし

なまけて磨くことを怠ったならば、立派な光をもつ宝石も、瓦や石ころと同じで、何の役にも立たなくなります。

明治天皇の教育勅語にも、知能を啓発し、徳を立派にし、更に進んで公益を拡めよ、とお教えになっています。お互いの身には磨けば磨くほど、向上進歩する才能が祖先から授かっていることを信じて学徳の練磨にはげみましょう。

(知能も熱心に磨かなくては光を発しません)

25番 『天』

明治天皇御製(二五)

『天』

あさみどり澄みわたりたる大空の

    広きをおのが心ともがな

あさみどり色に晴れて澄み渡った大空のように、広い大きな心を、お互いの心として、日々の生活に励みたいものです。

私達は心の持ち方によって、人生建設の成功、不成功がきまります。狭い心では大事は成功しません。常に広々と澄み渡った大空のような大きな心で進みましょう。

(心は広く大きく)

26番 『義』

昭憲皇太后御歌(二六)

『義』

茂りたるうばらからたち払ひても

    ふむべき道はゆくべかりけり

トゲの茨、針のついた枸橘などの生い茂っている困難な道でも、人として踏み行わなければならない正しい道は、どんなに苦労しても、強い信念を持って、勇敢に進むべきです。

未開の天地を拓き、狭い道をも広く、文化を常に高めて行くことが、創造の活きで、人生の生き甲斐というものです。どんな困難をも正義によって勇敢に打開して進みましょう。

(あらゆる困難を切り開いて、よりよい世の中へ)

27番 『峯』

明治天皇御製(二七)

『峯』

大空にそびえて見ゆるたかねにも

    登ればのぼる道はありけり

大空に高くそびえ立っているけわしい峰々にも、登って行けば、自然と登り得る道はあるものです。只必要なのは、勇気と努力とです。

昔は不可能と思われたヒマラヤ、アルプス等の頂上も勇気とたゆまぬ努力とによって、見事に登ることが出来ました。人生の行路も同様です。

(精神一到すれば、何事も成功する)

28番 『衛生』

昭憲皇太后御歌(二八)

『衛生』

かりそめのことは思はでくらすこそ

    世にながらへむ薬なるらめ

つまらぬことをくよくよと、ぐちをこぼしたり、取越苦労をしないようにして、日々を暮すことこそ、健康長寿の良薬であります。

とかく人間は目先のことに捕われて、過ぎ去ったことをくよくよと考えたり、取越苦労して、無駄なエネルギーを費しがちです。これは愚なことです。今日一日を感謝しつつ、精一杯に励むことが、幸に恵まれたる基です。

(取越苦労をしないで、精一杯に働きましょう)

29番 『水』

明治天皇御製(二九)

『水』

器にはしたがひながらいはがねも

    とほすは水のちからなりけり

水は円に四角に、さまざまな容器に順って逆 わないけれども、時と場合によっては、堅い岩石をも貫き通す、実に驚くべき力があります。

「水は万物を利して争わず」と言われ、或は人の体も七割は水 だと言われます。水は万物を育てながら、何も関係無いように黙々として争いません。しかし柔よく剛を制する力がひそんでいます。人も水の徳に学ぶべきことが多くあります。

(水の徳に学びましょう)

30番 『糸』

昭憲皇太后御歌(三〇)

『糸』

一すぢのその糸ぐちもたがふれば

    もつれもつれてとくよしぞなき

糸巻を解こうとして、間違って糸口を見失うと、もつれもつれて、遂には解きほぐす方法が、なくなるものです。

世の中も糸巻と同じように、複雑でもつれ易いものです。お互の立場々々をよく理解し合って、自分の行くべき道を間違えぬように気をつけ、難しい問題は、よく研究して、解決の糸口を見出しましょう。

(糸巻を解く心得で世を渡る)

まとめ

近くにお住まいの方は、毎月一度参拝して大御心をいただき、今月心がけるべきことを教えてもらうというのも良いかもしれませんね。

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