神社や仏閣に参拝すると目立った門や手水舎拝殿などの建物に名前の入ったシールが貼られているのをご覧になったことがあるでしょうか。
これは「千社札」とよばれる、個人や屋号を書いたのものを神社の社殿などに貼る紙のことを言います。千社札の読み方は「せんじゃふだ」。元々は江戸時代に霊場めぐりで使われていた奉納用のお札に由来するといわれている。現在ではシールになっているものが販売されていて、皆それを持ち歩いていく先々の神社に貼っているんです。
千社札は御朱印の反対版の参詣の印といえるでしょう。
江戸時代には四国八十八ヵ所などの巡礼が非常に流行しており、お参りした証として自身の氏名や住所などが書かれた木版や紙のお札を寺院に納めていたんですね。最近では御朱印が流行していますが、これは神社やお寺に自分が携帯する御朱印を書いてもらいますよね。
巡礼用のお札から千社札へ
さらに江戸時代も寛政のころになると江戸の人々の中で稲荷千社参りという稲荷信仰が盛んになった。たくさんの稲荷神社へ参拝するほど多くのご利益があると信じられその証として千社札が貼られる習慣が始まりました。
稲荷神社にたくさん参拝するということを千社参りといい、これに使うためのお札を千社札と呼ぶようになりました。
一度習慣ができると新しい文化になるもので、千社札自体にご利益があると信じられるように。これでお寺や神社に名前を書いたお札が多くなっていきました。
千社札にご利益はあるの?
千社札は御朱印と同様に、それ自体にご利益があるというものでは内容に感じます。
ただ、記憶をたどって「あぁ、あの神社に千社札を貼ってきたなぁ」とお寺や神社の仏様や神様のことを思い出すことで、間接的にご利益が得られることはあるでしょう。最近では携帯電話にカメラ機能があったりと、神社仏閣に行ったという思い出を残す手段が手軽になっています。
こちらでも同様の効果はあると思いますので、無理に千社札にこだわる必要はないのかなと。
千社札の注意点は?
千社札は無許可で貼っていいものではありません。
現在では、重要文化財や国宝に選ばれている歴史的に貴重な文化財が増えており、技術継承者の減少によってますますその価値が高まっていくことは想像に難くないです。もし千社札で参拝の証を残したいという場合には、神社やお寺の管理をしている方へ必ず許可をとってください。
神様のいる神域ということを念頭に心を正しく、マナーを重んじて参拝を楽しみましょうね。