志那都比古神(しなつひこのかみ)は伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の神生みで誕生した風の神様。自然を神格化した神様のうちの1柱です。
伊勢神宮の内宮に風日祈宮(かざひのみのみや)、外宮の別宮に風宮があり、どちらも志那都比古神が別名での男神の級長津彦命と女神の級長戸辺命として祀られています。
元寇の神風の由来となった日本の守護神
志那都比古神は元々は農業の神様として祀られていた神様。それも農業にには風が欠かせない存在であったからです。それが蒙古襲来として歴史の教科書にも書かれる元寇をきっかけとして国家の守護神として扱われるように変化していきました。
元寇では海を渡ってモンゴルから攻撃されていた日本は、外国の火薬を使った兵器によって敗戦が濃厚な状態にまで追い詰められていました。この形勢を一気に逆転させたのが台風の強風といわれています。この激しい嵐によって蒙古軍は大混乱し、奇跡的に日本の勝利となったのです。
この台風は志那都比古神が起してくれたのだと信じた民は風の神様を国家安泰のご利益があるとして崇めました。
シナツヒコの名前の由来は?
神様の名前が「シ」は呼吸など風を意味し、「ヒコ」は男性という意味。伊邪那岐命の息から生まれたともされることから、呼吸に関する名前がつけられたと考えられます。
風は自然界の中でも恵みをもたらすものと考えられますが、一方で強風は自然を破壊しすさまじいエネルギーで人間の生活を一掃することも可能です。特に風の強い地域に住む方は、これらを風神の力によるものと考え崇めていました。
別名
級長戸辺命(しなとべのみこと)
志那戸辨命
志那都比売神
ご利益
五穀豊穣・国家安泰・開運招福・航海安全・風邪平癒
祀られている主要神社
龍田大社(奈良県)
伊勢神宮内宮風日祈宮(三重県)
伊勢神宮外宮風宮(三重県)
神威神社(北海道)