那智大社でおみくじを引くと、和歌と「謹解」という説明、それに運勢と15もの項目が並んでいます。鎌倉右大臣という聞き慣れない名前や、「見合せよ」「住みつけ」といった言い回しに、手が止まった方もいるのではないでしょうか。
この記事では、おみくじの歌と運勢、項目別の意味をひとつずつ解説します。
熊野那智大社の由緒
熊野那智大社は、和歌山県那智勝浦町の那智山の中腹、標高約330mに鎮座する神社です。熊野本宮大社、熊野速玉大社と並ぶ熊野三山のひとつで、全国の熊野神社の総本社として知られています。
始まりは、那智の滝(那智御瀧)への自然崇拝です。滝そのものを神として祀っていたところに、約1700年前、現在の場所に社殿が建てられたと伝わります。
かつては隣の青岸渡寺と一体の霊場で、神仏習合の那智権現として信仰を集めました。明治の神仏分離で神社と寺に分かれ、現在に至ります。
2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されました。熊野造の社殿6棟は、国の重要文化財に指定されています。
熊野那智大社のご祭神
那智大社に祀られているのは、熊野十二所権現に、那智の滝を神格化した飛瀧権現を加えた十三所権現です。
主祭神は第四殿の熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)で、伊弉冉尊と同じ神とされています。万物の生成と育成を司り、農林漁業などの産業を守る神、そしてあらゆる願いを結ぶ神として信仰されてきました。別名は結宮です。
飛瀧権現は、大己貴命(大国主命)の化身とされる神です。那智の滝を御神体とする別宮の飛瀧神社に祀られていて、毎年7月14日の那智の火祭では、大社の神様が一日だけ滝へ里帰りします。
那智大社のおみくじについて
那智大社のおみくじは、紙の最上部に「那智大社 おみくじ 第○番」と吉凶ランクが書かれています。
内容は次の流れです。
- 和歌
- 謹解(歌の解説)
- 全体運勢
- 項目別運勢
第四番では、項目は願望、待人、失物、旅行、事業、交際、方向、勝負事、雇傭、住居、出産、病気、縁談、金運、漁運の15項目でした。
おみくじ解読
各番号のおみくじを個別に解説していきます。
第四番
『中吉』
三熊野の那智の御山に引しめの 打はへてのみおつる滝かな(鎌倉右大臣/金槐集)
謹解
武人にして歌人の公が、那智御滝を三熊野の御山に張られたしめ縄の如く、神々しく詠された心は、今の我々にもひびく思ひがする。
運勢
心を引しめて時勢の熟するまで辛抱すれば、次第に運開け幸福が加はり、事業が繁栄する。心眼を開け。
項目別
○願望 辛抱すれば叶ふ
○待人 さわりがあって直ぐには来ない
○失物 出ても遅い
○旅行 同行に注意せよ、急がぬがよい
○事業 新らしい事は見合せよ
○交際 気長につきあへ
○方向 東北方よし
○勝負事 消極的にしたがよし
○雇傭 大いに熟考せよ
○住居 苦労あるも住みつけ
○出産 さわりない、落ちつけ
○病気 軽けれど長びく
○縁談 身内にさわりあり、他人にまかせよ
○金運 期待まち
○漁運 まづまづ良し
意味解説
三熊野:熊野三山(本宮・速玉・那智)のこと
引しめ:注連縄を引き張ること
打はへて:ずっと長く続けて
武人でありながら歌人でもあった源実朝(右大臣)が、那智の滝を注連縄のように神々しく詠んだ心は、今を生きる私たちにも響いてくる、という意味です。
願望 すぐには叶いませんが、辛抱して続ければ叶います。
待人 何か支障があって、すぐには来られません。
失物 なくした物は出てきますが、見つかるのは遅くなります。
旅行 一緒に行く人との相性や段取りに気をつけてください。急がず、ゆとりのある計画がよいでしょう。
事業 新しいことを始めるのは、いったん見合わせるのがよいです。
交際 人づきあいは気長に。時間をかけるほうがうまくいきます。
方向 東北の方角が吉です。
勝負事 攻めるより、控えめに構えるほうが結果につながります。
雇傭 人を雇うときも、雇われるときも、よく考えてから決めてください。
住居 苦労があっても、住み続けるうちに落ち着いていきます。
出産 大きな支障はありません。落ち着いて臨んでください。
病気 症状は軽いものの、長引く傾向があります。
縁談 身内に支障があります。第三者に間に入ってもらいましょう。
金運 今すぐ入るというより、期待しながら待つ時期です。
漁運 まずまずです。悪くはありません。
熊野那智大社の参拝とアクセス
那智大社の境内には、熊野の神様のお使いである八咫烏にちなんだ烏石があります。毎年7月14日には、松明と扇神輿の行列で知られる那智の火祭が行われます。
アクセスは、JR紀勢本線の紀伊勝浦駅から熊野御坊南海バスの那智山行きで約25分、終点で降りて徒歩約15分です。