松尾大社でおみくじを引いたら、何が書かれているか意味を正しくわからなくて困っている方が多いです。
古文調で確かに松尾大社のおみくじは難しいです。今回はおみくじ解読をわかりやすい日本語でお伝えしていきます。
松尾大社のおみくじの特徴

松尾大社のおみくじは、「松尾大神御啓示」という名で授与されます。
啓示とは、隠れていた真理や意志を明らかに示すという意味の言葉。
つまりこのおみくじは、単なる運試しではなく、松尾大社の神様が参拝者一人ひとりに向けて示してくださる、生き方へのアドバイスなのです。
松尾大社のおみくじと歴史
松尾大社は、太古の磐座信仰を起源とし、大宝元年(701年)に社殿が造営されています。それ以来、賀茂神社と並んで平安京を守護する社として朝廷から崇敬を受けてきました。
「賀茂の厳神、松尾の猛霊」と並び称されていて、都全体を常に見守ってきた神社となります。
当時から続く人々の暮らしを見守り続けてきた大神の重みが、おみくじを引いて改めて実感できます。
松尾大社のおみくじの吉凶ランク
多くの神社で見られる12段階の吉凶体系(日枝神社などが採用する型)になります。
大吉 > 中吉 > 小吉 > 吉 > 半吉 > 末吉 > 末小吉 > 凶 > 小凶 > 半凶 > 末凶 > 大凶
吉凶の文字だけを見て一喜一憂するのではなく、そこに続く和歌や項目別の内容(方角・待ち人・病気・縁談など)までしっかり読み込むことが大切です。
※すべての吉凶ランクが確認されているわけではない点ご了承ください。
松尾大社のおみくじ解読
第一番 大吉
うるわしき神のみさとしあるからは
萬(よろづ)の願ひ叶ふとぞ知れ
歌の意
此の御諭しの神歌の意は
善事の來れる験ならんとなり
萬の願ひ叶ふとぞ知れとは
其の身、其の願ふ心の思ふ
やうに叶ふとの知せなり
分に依て千種萬端の願あり
項目別
○南の方よろし
○待人來
○争論ごとかつべし
○家造、奉公、移居、縁談、旅行等大いによし
○失物出る
○賓買利あり
○病氣日を追ふて全快すべし
○方角東
おみくじの解読
歌の大意は、「これほど麗しい神のお告げがあるからには、あらゆる願いはきっと叶うと知りなさい」というもの。
説明部分では、「万の願いが叶う」というのは一律に同じ叶い方をするのではなく、その人その人の立場や願う心の在り方に応じて、思うとおりに叶っていく意味と補足されています。
1番・大吉にふさわしい、全面的な祝福の内容のおみくじです。
第二番 吉
ひとつとて麗しきことのあるからは
又も吉事の來り榮へむ
此の御諭しの御詩の意は、うるはしく喜び幸ひ
事のひとつあれば また吉事の重り来歸り榮ふる(となるべし)
○歌ごと有べし
○待人そのうち來る
○失物出べし
○賣買利あり
○病気は日を追て全快すべし
○訴訟事大いに利あり
○方角西北より
○家造り転居、奉公、縁談よし
○相談事とゝのふべし 旅行てよし
おみくじの解読
一つ美しい・喜ばしいことが起きたなら、それをきっかけにまた次の吉事がやって来て栄えていくという、喜び事が連鎖していくことを説くおみくじです。
一つの良い兆しを大切にすれば、そこから運が広がっていくという前向きな内容になっています。
第八番 大吉
寄り來る神の御霊も世のなかの
人を幸ふことこそ知れ
此の御歌の意は
神々の所に御霊は寄れるも
み社にて人々を栄え
世の中の人を幸ふ御心と知れ
項目別
全快すべし
○歌事有べし
○方角、東よし
○待人來る
○失物出べし
○家造、移居吉
○争ひ事勝利あり
○願望叶ふ
○賓貴利あり
○旅行、奉公
○病氣神を信じてよし
おみくじの解読
神々の御霊がこの世の人々を幸せに導いてくださる、というおみくじです。
項目もほぼ全てが「よし」「勝利あり」「叶ふ」と並び、大吉らしく総じて好調な内容になっています。「病氣神を信じてよし」は、病気平癒を大神への信心にゆだねるとよい、という一文です。
第九番 末吉
行末(ゆくすゑ)を思へば遠くかぎりなき
御代(みよ)の榮(さか)えを待ぞ嬉しさ
此の御籤にこの神歌の意は
かに限りなき大神代の繁昌は
しごと重ねて千秋と榮えさせ給へ(かし)
と待ち願ふ心なり
項目別
○数事有べし
○争ひ事叶はず
○待人来らず
○方角、東南の方吉
○家造、移轉さわりあり
○旅行、嫁取り…(○病氣、と続く)
○失物手に入りがたし
○賓貴利なし
○病気
ながびくも命にさはりなし
むことり、人をおくにはよし
おみくじの解読
歌の大意は、「この先の行く末を思えば、際限なく続く御代(時代・治世)の繁栄を待つのは嬉しいことだ」という内容です。
今すぐの喜びというより、時間をかけて先に良いことが待っていると、今は待つ状態であることを示唆しています。
第十一番 半凶
満ちつつることをよろこぶ人ごとゝ
かくるといえることを思て
此の御歌の意は
物満つれば欠くるのならひなれば
如何なる吉事ありとても
心を配り分限を守り慎しめたる也
項目別
○願望叶ふ後慎まざれば破る事あり
○待人來らず
○病氣長きこと
○失物出べし
○争ひ事は一旦驚く事あれ
○方角西南の方よし
○家造、移居、婚姻、旅行
奉公は慎みてなす時さまたげなし
どもおもひの外やすかるべし
おみくじの解読
「物事は満ちればやがて欠ける」という自然の摂理を説く歌です。どんなに良いことが続いていても慢心せず、限度をわきまえて慎むべきだ、という戒めの内容になっています。項目を見ても、「願望は叶うが、その後慎まなければ破れる」「争い事は一旦驚くことがある」など、良い面と注意すべき面が混在しているのが半凶らしいところです。半凶は凶の中では軽い方の判定にあたるため、「悪いことばかりではないが、油断は禁物」という読み方が合っています。
第十三番 末凶
末(すえ)つひにおのが願(ねがひ)は成りぬべし
たゞ踏み行けよ人の正道(まさみち)
此の御詠の歌の意は
今目のあたりに願い事の
證(しるし)見えずとも、たゞすぐに大神の
道をりして人の行ふべき道を正しく踏み行けば
やがて神の助ありとなり
項目別
○悦事有るべし
○待人直に來らず
○失物出でず
○賓貝(貴)餘り深入すべからず
○家造、轉居吉
○縁談慎重に話を進む
○病氣養生第一に心掛くべし
○争ひ事は先に利をとらることあるべし
○旅行よろしからず
おみくじの解読
歌の大意は、「最終的には自分の願いはきっと叶う。ただ、人としての正しい道をひたすら踏み行きなさい」というもの。今すぐに願いが叶う兆しが見えなくても、大神の示す正しい道を守り続ければ、やがて助けが来る——という、忍耐を説く内容です。「末」という文字がつく判定らしく、結果が出るまでに時間がかかることを前提にした歌になっています。
項目を見ると、「待人直に來らず」「失物出でず」「旅行よろしからず」「争ひ事は先に利をとらる」と、目先はほぼ思うようにいかない内容が並びます。一方で「悦事有るべし」という良い兆しも残されており、全否定ではなく「今は耐える時」という末凶らしいバランスになっています。「病氣養生第一に心掛くべし」は、健康管理を最優先にという実用的な戒めです。
神社とご祭神について
松尾大社は、京都市西京区に鎮座する京都最古の神社のひとつです。
社殿が建てられるはるか以前、この一帯に暮らしていた人々が、松尾山の山霊を山頂近くの磐座に祀り、生活の守護神として崇めたのが始まりと伝えられています。
5世紀頃には秦氏の一族がこの地に移り住み、松尾山の神を一族の総氏神として仰ぎながら、保津峡の開削や桂川の治水、農地の開拓を進めました。
酒造りも秦一族の得意とするところであり、これが室町時代末期以降、松尾大社が「日本第一酒造神」と仰がれるようになった由来です。
ご祭神
大山咋神(おおやまぐいのかみ)
市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)
大山咋神は、古事記において山の頂に鎮座し、山およびその麓一帯を治める神として記される神様。近江国の日吉大社に祀られる神と並び称される存在として知られます。
市杵島姫命は、福岡県の宗像大社に祀られる三女神の一柱。古くから海上守護の神徳を仰がれてきました。秦氏が朝鮮半島との交易を行っていたことから、航海の安全を祈願して勧請されたと伝えられています。
開拓・治水・土木・建築・商業・文化・寿命・交通・安産、そして酒造と、この二柱の神徳は暮らしのあらゆる場面に及んでいます。