佐久奈度神社とは?
滋賀県大津市に鎮座する佐久奈度神社は、祓戸大神(はらいどのおおかみ)の総本宮。
天智天皇8年(669年)、勅命を受けた中臣金(なかとみのかね)が祓戸の神を祀って創建したとされる歴史ある神社。意外と知られていない神社になりますが、実は神道にとって大切な神社なのです。
今回は佐久奈度神社の歴史や見所など紹介していきます。
佐久奈度神社の御祭神
佐久奈度神社の御祭神は4柱の祓戸(はらいど)の神となります。
「祓いに始まり祓いに終わる」と言われる神道にとって、大切な神様。それぞれに違う祓いの役割を持っている4柱の御祭神ですので、それぞれ紹介しますね。
・瀬織津姫命(せおりつひめのみこと) 罪・穢を川から海へ流す
・速秋津姫命(はやあきつひめのみこと) 流れてきた罪・穢を河口で待ち構えて飲み込む
・気吹戸主命(いぶきどぬしのみこと) 罪・穢を息吹で根の国に吹き込む
・速佐須良姫命(はやさすらひめのみこと) 根の国に吹き込まれた罪・穢を消し去る
4柱の神様が一丸となって、罪・穢を祓っていらっしゃるのです。穢と書くと「汚れ」と思ってしまいますが、実は「気枯れ」のこと。
何かしら体調が悪い、どうも最近良くないことが続くときありますよね。このようなネガティブを感じやすい時期、それが「気枯れ」です。「気枯れ」を感じたら、佐久奈度神社にお参りして4柱の神様に祓って頂くと良いでしょう。気持ちがスッキリして、力が湧いてきますよ。
佐久奈度神社の歴史
創建から1300年以上もの長い歴史を持つ佐久奈度神社。
佐久奈度神社で唱えられていた「中臣大祓詞」という祝詞が、現在、神社で唱えられる「大祓詞」の元となっているのです。
平安時代、天皇の穢(けがれ)を祓うという七瀬の祓いのひとつだった佐久奈度神社は、伊勢神宮にお参りする前に穢を祓う神社として親しまれてきました。身を清めることができる特別神聖な場所だったのですね。
また、佐久奈度神社がある大津市大石町は、忠臣蔵で有名な大石内蔵助の一族の出身地。大石内蔵助の曽祖父が奉献した絵馬が、今も社殿に残されています。
佐久奈度神社と周辺の見どころ
佐久奈度神社は、悪いことを何もかも海に流してくれそうな、瀬田川の急流に面したところに創建されました。
昭和39年(1964年)、天ヶ瀬ダムが建設された時、水に沈む恐れがあって元々の社地から高台に移されたのです。
現在の社殿は、移設された時に建てられた築60年以内の新しいものですが、朱色と金箔で彩られてとても美しかったです。創建された時の社地は、今は佐久奈度神社の駐車場になっています。
大きくて立派なイチョウの木のあるあたりが、本殿のあった場所だとか。このイチョウの木が、元々の佐久奈度神社の御神木なのでしょうね。
末社 焼鎌社・敏鎌社
左側:焼鎌社
御祭神:天御柱大神
右側:敏鎌社
御祭神:国御柱大神
橋守社
下に下りると橋守社があります。河の一番近くにあることもあり、このあたりを守っていることがわかる神様です。
手水舎
稲荷神社と八幡神社
佐久奈度神社へのアクセス
・公共交通機関を利用する場合
JR・京阪電車石山駅からバス30分、大石小学校行きバス終点下車、徒歩3分
・車を利用する場合
名神高速道路瀬田東(西)ICから10分
近くの見所について
佐久奈度神社の境内から500メートルほど離れたところに、旧社殿のひとつが「佐久奈度神社御旅所」として保存されています。
お参りする時には、大津市の文化財に指定された御旅所の見学も面白いと思います。
まとめ
滋賀県大津市に鎮座する、祓戸大神の総本宮・佐久奈度神社。
669年に創建された歴史の古い神社で、今も唱えられる「大祓詞」の元となった「中臣大祓詞」はこの神社で生まれました。意外に知られていませんが、「祓いに始まり祓いに終わる」神道の大切な神社です。
最近、良くないことが続く、体調が悪い人はお参りして、4柱の祓戸の神様に「気枯れ」を祓っていただいてスッキリしましょう。
プチ情報
佐久奈度神社には、優しい宮司さんと人懐っこく可愛らしい犬のKUREちゃんがいます。
ある年の暮れに、境内に捨てられていたのを宮司さんが拾い、「暮れに拾った子だからKURE」と名付けたのだとか。今では、佐久奈度神社を訪れる人達に大人気のワンちゃんになっています。
KUREちゃんに会ったら、疲れた心が癒やされることでしょう。
佐久奈度神社から車で30分ほどの位置には、2020年の大河ドラマの主人公・明智光秀の居城だった坂本城跡や比叡山延暦寺などの見どころがたくさんあります。佐久奈度神社の周辺は、古代からの歴史の息吹を感じられる地域。
お参りしたあと、じっくりと時間を使って見学すると楽しそう。